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2013年6月1日土曜日

Live Wire Media Relations(PR会社)CEO
クリッサ・ジゾスさん         




Actionの連鎖で人生が形成されている、そんなキャリアの持ち主がこのクリッサ・ジゾスさんだ。大学在学中に米政府からの指名で韓国に派遣され、その8年後には自らのPR会社を立ち上げた。2013年の春学期、ジゾスさんが客員教授を務めるスピーチの授業を受けて、衝撃を受けた。ここまで本音で生徒と向き合ってくれる教授がいるのかと。生徒が発表したスピーチに対して、ダメだと思えば容赦なくやり直しのコールをかける。でもその際には、必ず的確なアドバイスを添える。数々のスピーチやPR戦略をアドバイスしてきた敏腕CEOだけに、そのアドバイスは的確で、そして本音で話していることが伝わるから、生徒はみな彼女の言葉を真剣に聞き入っていた。そんなジゾスさんに、「本音で話すこと」と「失敗から立ち直ること」の大切さを語っていただいた。



目標に向かって突き進んだ学生時代

Q. どんな大学時代をおくりましたか?
入学前から3つの分野で成功したいと思っていて、それができる大学を選んだの。まず、スポーツ。その大学からは、フィールド・ホッケーで全額給付の奨学金をもらえた。この国で一番の選手になって、アメリカン・アスリートとして表彰されるというのが目標だったから、そうなれるチームに入った。次に、交友関係でもいい関係を築きたかった。最後に、プロフェッショナルな組織に入って、課外活動をしたかった。だから大学内の学生新聞の編集者になることにした。それが功を奏して、韓国にも行けたの。

チャンスを掴んだ韓国行

Q. ぜひ韓国に行った経緯、そこでの経験を教えてください。
私が大学生だった1991年当時、国際連合が韓国と北朝鮮にひとつの国として国連加入することを勧めていたの。でもアメリカの議会(国会)はそれを望まなかった。だから議会はアメリカから12人の大学生編集者たちを選抜して、韓国の国会議員のもとで働かせることにした。私はそれに選ばれることができて、彼らの英語のスピーチを書いたりした。
そこでの経験は今の成功につながっていると思う。若くして自分からチャンスをつかむ大切さを知ることができたし、政府高官と親密な付き合いができた。なにより、権力に対しても正直でいることを学んだ。強い力を持っている人と向き合うには、本音を伝える
が大切ね。

Q. 現在のお仕事は?
1998年にLive Wire Media Relationsという自分の会社を設立した。ワシントンDCを拠点にしたPR(広報)会社なの。今もこの会社の代表兼CEOとして働いている。
私たちの会社の強みは、クライアントにメディア対応・政府対応のトレーニングを提供することね。例えば東日本大震災が起こったときには、ある原子力発電の開発会社の代表がクライアントだった。彼はオバマ政権への公聴会を控えていたから、そこで誠実に、効果的に大統領に伝わる方法をアドバイスしたの。

倒産の危機から学んだこと

Q. これまでに挫折した経験はありますか?
2001年、ちょうど9.11テロの後くらいは、ひとつの大きなクライアントだけに絞って経営をしていたの。でもある日、そのクライアントが別のライバル社に奪われてしまった。15人の従業員を1日で解雇しなくちゃいけなかった。その失敗から、「ひとつのカゴに全ての卵を盛ってはいけない」ということを学んだ。(Don’t put all your eggs in one basket. = 卵をたくさん持っていてもそれが全部入っているかごを落としてしまえば全て割れてしまうことから、リスクは分散させるべきという意味の英語のことわざ)それから会社を立て直すことができて、今はより多様なクライアントと、多様な従業員で経営をしている。もしあの失敗を経験していなければ、学べなかったことだと思う。

あなたを思う人からのアドバイスを信頼して

Q. チャンスをつかむコツは?
他者からのアドバイスを受け入れること。あなたを思ってくれている人からのアドバイスは信頼すべき。私も年に1回コンサルタントから経営のアドバイスを受けている。別にしなくてもいいのだけど、そうしたいから。そして、たとえ自分が正しいと思えないことでも、彼らのアドバイスに忠実に従うようにしている。なぜなら私は彼らにたくさんのお金を払っているし、私は彼らからのアドバイスを信用しているから。

そして我慢強く失敗から立ち直ること。私は毎日毎日、何かで失敗している。でも毎回起き上がって、もう一度初めからやりなおすの。「失敗」は悪い言葉でも、怖い言葉でもない。私はたくさん挑戦してきて、たくさん失敗してきた。だから、その分だけ成功してきたの。




201357


聞き手・写真:橋本悠



―クリッサ・ジゾスさん略歴―
1991年 議会任命により韓国派遣
          学生時代フリージャーナリストとして活躍
1998年 株式会社Live Wire Media Relations設立、CEO就任
2007年 ワシントン・ビジネスジャーナル紙が選ぶ「Top 25 Woman Who Mean Business」選出
20135月現在 本業の傍ら、アメリカン大学、ジョージメイソン大学にて客員教授を務める
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